コックや熟練者のビザ (技能)

熟練の技を持つ外国人は「技能」で活躍できる

インドカレーや台湾料理のお店がたくさん増えました。最近ではスリランカ料理、ネパール料理の専門店も弊所の所在する千葉県では数多く存在します。

こういったお店でコックとして雇用されている方に外国の方は非常に多く、外国人のコックであるからこそ本場の味で料理を提供できるのでしょう。

現在日本では、こういった分野(入管法ではコックを含め一定のものを「産業上の特殊な分野」としています。)における熟練した技能を持っている外国人は在留資格「技能」を取得して、その活動をするために日本に滞在することができます。

上記の場合で言えば、外国で考案された料理(インドカレー、中華料理など)のコックが該当します。

在留資格「技能」を掘り下げよう!

「技能」の在留資格は、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)別表1の2において下記のとおり規定されています。

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動

上記にある通り、在留資格「技能」で要求される技能は「産業上の特殊な分野に属する熟練した技能」に限定されています。では一体「産業上の特殊な分野」とは何なのかというと、現在以下の「9つの分野の技能」に限定されています。9つのいずれか分野で一定期間の実務経験を積んでいる外国の方のみ、在留資格「技能」を取得して日本でその活動をすることができます。

1 料理の調理又は食品の製造にかかわる技能

2 外国に特有の建築又は土木に係る技能

3 外国に特有の製品の製造又は修理に係る技能

4 宝石、貴金属又は毛皮の加工に係る技能

5 動物の調教に係る技能

6 石油探査のための改定掘削、地熱開発のための掘削又は改定鉱物探査のための改定地質調査に係る技能

7 航空機の操縦に係る技能

8 スポーツの指導に係る技能

9 ぶどう酒の品質の鑑定、評価及び保持並びにぶどう酒の提供に係る技能

以下実務経験をはじめ順番にご案内していきます。

1 料理の調理又は食品の製造にかかわる技能

「料理の調理又は食品の製造にかかわる技能」で在留資格「技能」を取得するには以下のいずれかに該当することが必要です。


当該技能について10年以上の実務経験を有する者(外国の教育機関において当該料理の調理又は食品の製造に係る科目を専攻した期間を含む。)


経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定附属書7第1部!第5節1(C)の規定の提供を受ける者

冒頭でお話ししたコックさんは「その国で生まれた料理」の調理の技能でなくてはいけません。さらに「ロ」を除くと実務経験が10年以上ないと日本では在留資格「技能」で滞在することができないのです。

外国に特有の建築又は土木に係る技能

「外国に特有の建築又は土木に係る技能」で在留資格「技能」を取得するには以下に該当することが必要です。

外国に特有の建築又は土木に係る技能について10年(当該技能を要する業務に10年以上の実務経験を有する外国人の指揮監督を受けて従事する者の場合にあっては5年)以上の実務経験を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの。

日本には無い外国特有の建築技術・・・ゴシック、ロマネスク、バロック方式や中国式、韓国式などの建築、土木に関する技能などが該当します。

参考:「技能」に該当する建築技術者の例

3 外国に特有の製品の製造又は修理に係る技能

「外国に特有の製品の製造又は修理に係る技能」で在留資格「技能」を取得するには以下に該当することが必要です。

外国に特有の製品の製造又は修理に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該製品の製造または修理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの。

例えば、ヨーロッパ特有のガラス製品、ペルシアじゅうたんなど日本に無い製品の製造または修理に係る技能であったり、シューフィッター(生理学的分野から靴を研究し、治療靴を製造するもの)については、解剖学、外科学等の知識を用いて外反母趾等の疾病の予防矯正効果のある靴のデザインを考え、制作性テイク作業に従事するもの、が在留資格「技能」に該当します。

4 宝石、貴金属又は毛皮の加工に係る技能

「宝石、貴金属又は毛皮の加工に係る技能」で在留資格「技能」を取得するには以下に該当することが必要です。

宝石、貴金属又は毛皮の加工に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該加工に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの。

宝石及び毛皮については、宝石や毛皮を用いて製品を作る過程だけでなく、原石や道具つから宝石や毛皮を作る過程も含まれます。

5 動物の調教に係る技能

「動物の調教に係る技能」で在留資格「技能」を取得するには以下に該当することが必要です。

動物の調教に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該加工に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの。

6 石油・地熱等掘削調査

「石油・地熱等掘削調査」で在留資格「技能」を取得するには以下に該当することが必要です。

石油・地熱等掘削調査に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該加工に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの。

上記の「地熱開発のための掘削」とは、生産井(地熱発電に費用する蒸気を誘導するために掘削された井戸)及び還元井(発電に使用した蒸気及び熱水を地下にもどすために掘削された井戸)を掘削する作業のことを言います。

6 石油・地熱等掘削調査

「石油・地熱等掘削調査」で在留資格「技能」を取得するには以下に該当することが必要です。

石油・地熱等掘削調査に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該加工に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの。

上記の「地熱開発のための掘削」とは、生産井(地熱発電に費用する蒸気を誘導するために掘削された井戸)及び還元井(発電に使用した蒸気及び熱水を地下にもどすために掘削された井戸)を掘削する作業のことを言います。

7 航空機の操縦に係る技能

「航空機の操縦に係る技能」で在留資格「技能」を取得するには以下に該当することが必要です。

航空機の操縦に係る技能について250時間以上の飛行経歴を有する者で、航空法第2条第17項に規定する航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んで操縦者としての業務に従事するもの

航空操縦士については、下記のページに具体的なご案内しをております。

参考:「技能」に該当する航空操縦士のポイント

7 スポーツの指導に係る技能

「航空機の操縦に係る技能」で在留資格「技能」を取得するには以下に該当することが必要です。

航空機の操縦に係る技能について250時間以上の飛行経歴を有する者で、航空法第2条第17項に規定する航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んで操縦者としての業務に従事するもの

スポーツ指導者については、下記のページに具体的なご案内をしております。

参考:「技能」に該当するスポーツ指導者のポイント

9 ワイン鑑定等

「ぶどう酒の品質の鑑定、評価及び保持並びにぶどう酒の提供に係る技能(以下「ワイン鑑定等」)」で在留資格「技能」を取得するには、以下に該当することが必要です。

ワイン鑑定等に係る技能について5年以上の実務経験(外国の教育機関においてワイン鑑定等に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する次のいずれかに該当する者で、当該技能を要する業務に従事するもの


ワイン鑑定等に係る技能に関する国際的な規模で開催される競技会(以下「国際ソムリエコンクール」)において優秀な成績を収めたことがある者


国際ソムリエコンクール(出場者が一国につき一名に制限されているものに限る。)に出場したことがある者


ワイン鑑定等に係る技能に関して国(外国を含む。)若しくは地方公共団体(外国の地方公共団体を含む。)又はこれらの準ずる公私の期間が認定する資格で法務大臣が告示をもって定めるものを有する者

ワイン鑑定等については、下記のページに具体的なご案内をしております。

参考:「技能」に該当するワイン鑑定等のポイント

「技能」は限定的な在留資格

在留資格「技能」は、限定的で日本では調理師、コックが一般的です。「外国に特有の技能を有する人」といってもその職業が決まっているので、すべての職人さんや熟練者に該当するわけではありません。上記のいずれにも該当しない場合はその他の在留資格で可能性を探ってみるもの一つの方法です。外国の方の雇用を考える場合には、外国の方の能力だけでなく自社の現状・・・、仕事の内容、仕事量その他総合的に探って判断するのが望ましいでしょう。

在留資格「技能」のご相談、ご依頼はお気軽に行政書士事務所ネクストライフまでご連絡ください。

その他ポイント

ビザ専門の行政書士事務所ネクストライフでは在留資格「技能」について、上記の他いろいろなポイントを発信しております。気になったテーマを下記からご覧ください。

「技能」で、海外にいる外国人を日本に「呼び寄せる」

「技能」で、現在日本にいる外国人を「雇用する」

「技能」を有する外国人の在留期間を延長する

「技能」を有する外国人の「外国にいる家族」を日本に「呼び寄せる」

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